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頭髪治療について
今川賢一郎

・フォリキュラーユニットトランスプランテーション(FUT)

 今回ご紹介するFUTという植毛法で用いられるのがFU(フォリキュラー・ユニット)といわれる単位です。これは簡単に言えば毛穴の単位のことで、1つのFUには1本から4本の太いヘア(日本人は4本毛はまれ)と1本か2本のうぶ毛、皮脂腺、起立筋といったものが含まれ、1つ1つのFUはコラーゲンの帯で囲まれています(写真1)
FUTとは、すべての株を顕微鏡を使ってFUごとに株分けし植毛する方法と定義されています。現在世界の植毛専門医のほとんどが何らかの形でこの方法を採用しています。この方法の最大のメリットは「自然さ」と「達成される濃さ」にありますが、従来より手術時間が長くなることや高価な機械が必要になるなどのデメリットもあります。

 FUTには次の3つのステップがあります。
(1) ドナー採取
(2) 株分け
(3) 植え込み

まずステップ(1)は、植毛する本数、または株数に合わせて帯状のドナーを採取することから始まります。その時再び脱毛する心配のない安全な後頭部の範囲は、両耳の上を結んだラインから下になります。もちろん側頭部(耳の上)からもドナーを採取することができます。
ドナーの密度は個人差があり、後頭部と側頭部でも違いがあるので、適当に採っていると誤差を生じてしまいます。そのため採毛部のヘアだけを短く刈り込んで密度を計測し正確にデザインします(写真2)。例えば160本/cuの密度である方が2000本の植毛をする場合には12.5cuのドナーが必要になり、それを1cm巾で採取するとすれば約13cmの長さの傷になります。もしドナーの密度が10%小さければ傷の長さは10%長くなることになります。なお、ドナーを採った後は縫合し、一本の線の目立たない傷になります。

ドナーを採取し終わったら、次にステップ(2)の株分け作業に入ります。この時使用されるのがマンティス顕微鏡と言われるもので、十分な明るさと拡大率が得られドナーを傷つけることを防いでくれます(写真3)。そして1本毛、2本毛、3本毛、2FUまたはバイ・フォリキュラーユニットのサイズに分けられた株をそれぞれ4℃に設定された生理食塩水の入った容器に保存されます(写真4)
こうすることで空気中の雑菌からも遮断されます。毛根は非常にデリケートで乾燥すると5分程で死滅してしまうと言われており慎重かつ迅速な作業が要求される作業です。

ステップ(3)ではカウントした株数に合わせて植え込む部分にスリットを入れていきます。1本毛は0.8mm、2本毛は1mm、3本毛や2FUは1.2〜1.4mmというように株のサイズに合わせて針やミニブレードを使ってスリットを作りそこに植毛用の特殊なピンセットを用いて1株ずつ植え込んでいます(写真5)
この作業は拡大鏡を用いて行われ、スリットは“毛の向き”や“深さ”に注意し、またなるべく密度を上げるように心がけていきます。
現在のところ実際に一回の手術で達成される密度は採毛部の25〜30%程度です。そのため十分な濃さを得るためには2、3回の手術を繰り返す必要があるといわれていました。この点に関して一度でなるべく密度を上げる工夫が現在も続けられております。

(1)〜(3)の所要時間は2000本程度で合計約4〜5時間、4000本程度で6〜7時間ぐらいとなります。またこの治療法は交通事故やいろいろな原因による瘢痕による脱毛症や頭皮以外、例えば眉毛やまつ毛、ヒゲやアンダーヘアの再建にも応用されています。

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